犯罪・刑事事件の解決事例
#遺言 . #遺産分割

【一審では遺言無効→控訴審で逆転勝訴】遺言の有効性について法律と医療の両面からアプローチし、勝訴したケース

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村上 公一 弁護士が解決
所属事務所神戸きらめき法律事務所
所在地兵庫県 神戸市中央区

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

Aさんの母は、死亡の直前に、Aさんに有利な自筆証書遺言書を書きました。母の死後、家庭裁判所において検認手続がありました。その後、他の相続人は、「母の病状が悪化し、判断能力(遺言能力)がない時に書いた遺言書であるから、無効である」と主張し、Aさんを被告として提訴しました。その訴訟の一審では、Aさんが敗訴してしまいました。Aさんの代理人弁護士が控訴審の受任を辞退したため、Aさんは、控訴審の弁護活動を依頼するために相談に来られました。

解決への流れ

訴訟の主要な争点は、母の遺言時における判断能力でした。控訴審では、母の死亡前の病床における言動を証明する資料を集めて、証拠として提出しました。また、医療機関等に申請して、母の医療に関する資料を取得し、証拠として提出しました。そのような地道な努力もあり、控訴審では逆転勝訴の判決を得ました。

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村上 公一 弁護士からのコメント

法律と医学の両方からアプローチすることで最良の結果に繋がったケースです。相続人であれば、相続開始後に、個人情報保護法や個人情報保護条例等に基づいて情報開示請求をすることによって、被相続人の医療に関する資料をかなり集めることができます。意外に知られていないので、紹介しておきましょう。なお、前述の「法定相続情報一覧図の写し」を取得しておくと、この種の照会手続においても簡便化を図ることができます。① 被相続人が加入していた健康保険組合の事務所において、診療報酬請求に関する過去の資料を請求することができます。被相続人が75歳以上の後期高齢者である場合は、都道府県の「後期高齢者医療広域連合」の事務所に行き、同様の請求をすることができます。② 市町村役場の個人情報保護の担当窓口に赴き、個人情報開示請求書を提出して、被相続人についての要介護認定・要支援認定に関する資料を取得することができます。通常の扱いでは、「認定調査票」(現況調査・基本調査)、「主治医意見書」、「介護保険 要介護認定・要支援認定等結果通知書」が開示されます。主治医意見書には、医療機関名及び担当医師名が記載されています。③ 被相続人が受診していた病院・診療所に申請して被相続人の診療録(カルテ)及び看護日誌を申請することができます。