徳島弁護士会は6月6日、県内の簡易裁判所で裁判官の在庁日数(裁判官が出勤する日数)が削減されることについて「地域司法の弱体化につながりかねない」として懸念を表明する会長声明を発表した。4月30日以降、県内7つの簡易裁判所のうち4庁で在庁日数が削減される。
徳島地方裁判所の裁判官会議で決定された変更により、阿南簡易裁判所では週3日から週1.5日に、美馬簡易裁判所では週2.5日から週1.5日に、徳島池田簡易裁判所では週1日から週0.5日に削減される。牟岐簡易裁判所も曜日変更により実質的な削減となった。
●「事件数の観点からも削減を裏付けることは決してできない」
徳島弁護士会は声明で、「簡易裁判所は国民に身近な司法機関として、様々な紛争解決に頼りがいのある存在であるべき」と指摘。阿南簡易裁判所の事件数が2019年から2023年まで46件、48件、42件、38件、43件とほぼ同様で推移していることを挙げ、「事件数の観点からも、簡易裁判所判事の在庁日数の削減を裏付けることは決してできない」と批判した。
声明によると、全国的に簡易裁判所判事の欠員が深刻化しており、予算定員806名に対し実員数は647名(欠員159名)と定員の80%にとどまっている。徳島県内でも2024年度に徳島地家裁美馬支部で裁判官の在庁日数が削減されるなど、地域司法の人員不足が顕在化している。
同会は「県内の地域司法の更なる人的物的な維持充実を求め」るとして、司法アクセスの確保に向けた体制整備を訴えた。