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暴力団、構成員数「過去最低」の背景…進む取引拒絶、住みにくい世の中に
2017年04月01日 08時31分

昨年、全国の暴力団員の構成員数が約1万8100人となり、統計をとりはじめた1958年以降、初めて2万人を下回ったことが警察庁のまとめでわかった。

報道によると、全国の暴力団員と準構成員の数は、昨年末の時点で計約3万9100人で、一昨年とくらべて約7800人減った。このうち暴力団員は約1万8100人、ピーク時だった1963年(約10万2600人)の2割ほどに減少した。

暴力団をめぐっては、日本最大の指定暴力団「山口組」が分裂して以降、抗争のおそれが指摘されている。一方で、暴対法・暴排条例などで、対策がすすんでいるといわれている。暴力団員減少の背景はなにか。彼らはどこにいったのか。民事介入暴力にくわしい中井克洋弁護士に聞いた。

昨年、全国の暴力団員の構成員数が約1万8100人となり、統計をとりはじめた1958年以降、初めて2万人を下回ったことが警察庁のまとめでわかった。

報道によると、全国の暴力団員と準構成員の数は、昨年末の時点で計約3万9100人で、一昨年とくらべて約7800人減った。このうち暴力団員は約1万8100人、ピーク時だった1963年(約10万2600人)の2割ほどに減少した。

暴力団をめぐっては、日本最大の指定暴力団「山口組」が分裂して以降、抗争のおそれが指摘されている。一方で、暴対法・暴排条例などで、対策がすすんでいるといわれている。暴力団員減少の背景はなにか。彼らはどこにいったのか。民事介入暴力にくわしい中井克洋弁護士に聞いた。

●暴力団員が減少した背景とは?

「やはり、各業界で暴力団排除がすすんで、暴力団員にとって住みにくい世の中になったことが大きいと思います。

たとえば、暴力団員は以前、自分が◯◯組の△△だと示すことが、お金を稼ぐための手段であったとともに、相手が恐れてくれることで自尊心も満たされていたのではないでしょうか。有名な親分と知り合いであることを自慢していた一般人もいたように思います。

ところが、2007年の政府犯罪対策閣僚会議幹事会『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』や、2010年から2011年にかけて、全国の都道府県で制定された暴排条例などによって、企業などが暴力団等との取引を一切遮断すべきことが示されました。

そのため、暴力団員との取引が明るみにでれば、企業や行政もコンプライアンス違反として、法的にも社会的にも強く非難されるようになりました。その流れのなかで、銀行取引をはじめとして、各業界で暴力団員との取引拒絶がすすめられました。

ちなみに、公営住宅や銀行口座閉鎖に関する裁判などでも相次いで、『暴力団構成員という地位は、暴力団を脱退すればなくなるものであって社会的身分とはいえず、暴力団のもたらす社会的害悪を考慮すると、暴力団構成員であることにもとづいて不利益に取り扱うことは許されるというべきであるから、合理的な差別であって、憲法14条に違反するとはいえない』という趣旨の判決もつづいています。

その結果、暴力団員は自分がそのような立場であることを隠さなければならず、社会も暴力団員と知り合いであることを自慢するような時代ではなくなりました。

その流れにより、自分が◯◯組の△△だと示す、昔ながらの方法ではお金も稼ぎにくくなる一方で、暴力団は組織維持のために組員からの上納を厳しくせざるをえなくなるでしょう。そのような厳しい現状によって、現役の組員たちもやめる人が増えるとともに、加入する若者も減ってきたのではないでしょうか」

●暴力団員をやめた人たちはどこにいくのか?

「おそらく、やめたといわれる人たちには、次の3つのパターンがあると思います。

(1)本気でやめて、組織とつながりをきっぱりと断った人

(2)本気でやめたが、組織とつながりを断ちたくても断ち切れない人

(3)本当は組織を離れていないが、対外的にやめたことにしている人

それぞれがどの程度の割合かはわかりませんが、(1)(2)の人たちの相談が、警察や弁護士にも寄せられることが、少しずつ増えているようです。

これからの課題として、(1)(2)の人たちが、社会に戻ってくるようにするためにどのようなフォローをするかという点があります。各都道府県の警察や暴追センターでもいくつかの試みが行われています。

その一例として、福岡や大阪、広島など多数の都府県の間で、暴力団離脱者が地元とは離れたところで就職できるよう情報共有する『暴力団離脱者対策協議会』による連携システムがあります」

(弁護士ドットコムニュース)

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