6693.jpg
日本シリーズでも暗躍!? 違法な「ダフ屋」はただの「チケット転売」とどう違う?
2013年10月24日 17時10分

例年、チケット争奪戦となるプロ野球・日本シリーズ。今年は巨人対楽天となったが、楽天はシリーズ初進出であるうえに、Kスタ宮城は観客収容人数が少ないため、10月25日販売開始のチケットを入手するのは容易ではなさそうだ。

こういうときに「暗躍」するのがチケットの転売屋、いわゆる「ダフ屋」である。ダフ屋行為は違法、という話も聞くが、それでもコンサートや試合会場付近で「あまったチケット買うよー。ない人売るよー」と声をかける人を見かけることがある。

だが、素朴に考えると、安く仕入れて高く売るのは商売の基本だし、需要に応じて価格が変わるのも市場の基本。ネットオークションなどでも、限定グッズなどがプレミア価格で転売されているのを見かけることがある。合法的な転売と、違法なダフ屋との違いはどこにあるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

例年、チケット争奪戦となるプロ野球・日本シリーズ。今年は巨人対楽天となったが、楽天はシリーズ初進出であるうえに、Kスタ宮城は観客収容人数が少ないため、10月25日販売開始のチケットを入手するのは容易ではなさそうだ。

こういうときに「暗躍」するのがチケットの転売屋、いわゆる「ダフ屋」である。ダフ屋行為は違法、という話も聞くが、それでもコンサートや試合会場付近で「あまったチケット買うよー。ない人売るよー」と声をかける人を見かけることがある。

だが、素朴に考えると、安く仕入れて高く売るのは商売の基本だし、需要に応じて価格が変わるのも市場の基本。ネットオークションなどでも、限定グッズなどがプレミア価格で転売されているのを見かけることがある。合法的な転売と、違法なダフ屋との違いはどこにあるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●「ダフ屋」を規制するのは都道府県の条例

「こうしたダフ屋行為が禁止されているのは、それが伝統的に暴力団の資金源になってきたこととも関係していると思います」

秋山弁護士はこのように指摘する。具体的には、どんな形で禁止されているのだろうか。

「ダフ屋行為は都道府県の条例で規制されています。

たとえば、東京都の迷惑防止条例では、(1)不特定の者に転売する目的で公共の場所において入場券等を購入する行為や、(2)転売目的で得た入場券等を公共の場所において不特定の者に売る行為、を禁止しています。

違反した場合には2年以下の懲役・100万円以下の罰金(常習の場合)という罰則が用意されています」

この説明は「東京都条例」についてだが、いわゆるダフ屋行為を禁止する条例は、多少の差はあれ多くの都道府県にあるようだ。秋山弁護士は続ける。

「刑罰の対象となる法規は、犯罪が成り立つ要件が厳密に規定されており、要件に該当しない行為は罰せられることがありません。

したがって、たとえば、転売目的ではなく、自分で見に行くつもりで日本シリーズのチケットを購入したが、前日風邪を引いてしまい見にいけないので友人に売った、という場合には(1)にも(2)にも該当しないので、罰せられません」

つまり、転売が「ダフ屋」として処罰されるのは、都内では(1)か(2)に当てはまる場合だけ、ということだ。

●ネットでの転売は問題ないか?

ただ、最近ではインターネットでの転売が「ダフ屋」として摘発されたこともあるようだが……?

「都条例の規制が適用されるかどうかのポイントは、転売目的かどうかや、『公共の場所』における行為かどうかによります。

ただ、『公共の場所』については、多少拡張解釈されてきているようです。たとえば、ネットでの転売目的でコンビニエンスストアでチケットを購入した場合、コンビニが『公共の場所』に該当するとして検挙された事例があるようです。

チケットを転売した場所のネットが『公共の場所』とはいえないため、捜査機関が半ば強引に、チケットを買った場所のコンビニを『公共の場所』として捉えたのだろうと思われます」

なるほど、このケースでは、販売した場面ではなく、購入した場面が条例違反とされたようだ。

ところで、そもそもチケットに「転売禁止」などと書いてある場合もあるようだが、それは条例とは関係ないのだろうか?

「チケットが『転売禁止』という条件で販売されている場合、転売で購入したチケットを提示しても、入場拒否されることはあります。ただし、それは刑事ではなく、民事の問題です」

つまり、その場面で問題となるのは条例違反ではなく、イベント主催者とチケット購入者との間の契約違反、ということなのだろう。自分で行くはずが行けなくなり、チケットをどうしようかと悩んだら、まずこうした注意書きをよく読んだほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る