5598.jpg
コロナで施設ごと休館、テナントは労働者に休業手当を支払うべき? アルバイト女性が会社提訴
2021年07月21日 16時34分

新型コロナの影響による店舗の休業について、会社が休業補償をしなかったのは違法などとして、首都圏の飲食店でアルバイトとして働く30代女性が7月21日、運営会社のフジオフードシステムを相手取り、計約180万円を求めて横浜地裁に提訴した。女性側代理人によると、コロナ禍の休業手当をめぐる訴訟は珍しい。

訴状によると、女性が勤務していた店舗は、2020年4月の緊急事態宣言で入居する商業施設が休業となったことから、同年5月末まで休業となった。

すでにシフトが確定していた数日分の補償はあったものの、5月分については補償がなく、女性は有給休暇をすべて使用した。一方、正社員については100%補償があったという。

労働基準法26条では、休業の責任が会社側にあるときは、会社側に休業手当の支払いを義務付けている。一方、コロナ禍では、この休業手当の要否にかかわらず、企業が払った休業手当を国が一部肩代わりする「雇用調整助成金」の仕組みも拡充された。

ところが女性は、「雇調金などの制度も整えられたのに、会社はかたくなに休業手当の支払いを拒んでいます」と話す。

女性側は、(1)会社側が休業補償をしないのは、労基法26条や民法536条2項に違反する、(2)100%補償があった正社員との待遇差は、パート有期法8条が禁じる不合理な格差に当たるーーなどと主張している。

裁判では、入居する商業施設ごと休業になった今回の休業が、会社側の責任と判断されるかなどが争点になるとみられる。また、雇調金を使わなかったことが判決に影響するかどうかも今後の実務に影響してきそうだ。

なお、企業から休業手当が支給されない場合は、国から従業員に直接支給される「休業支援金・給付金」の仕組みもある。女性も申請はしているが、裁判を通して、会社に休業手当の支払い義務があるかをはっきりさせたいという。

女性が加盟する飲食店ユニオンの原田仁希さんは、「コロナを理由とした休業手当未払いが違法となれば、コロナの影響で休業手当が払われなかった多くの労働者の救済になる」と強調した。

取材に対し、フジオフードシステムの代理人は「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」と話した。

新型コロナの影響による店舗の休業について、会社が休業補償をしなかったのは違法などとして、首都圏の飲食店でアルバイトとして働く30代女性が7月21日、運営会社のフジオフードシステムを相手取り、計約180万円を求めて横浜地裁に提訴した。女性側代理人によると、コロナ禍の休業手当をめぐる訴訟は珍しい。

訴状によると、女性が勤務していた店舗は、2020年4月の緊急事態宣言で入居する商業施設が休業となったことから、同年5月末まで休業となった。

すでにシフトが確定していた数日分の補償はあったものの、5月分については補償がなく、女性は有給休暇をすべて使用した。一方、正社員については100%補償があったという。

労働基準法26条では、休業の責任が会社側にあるときは、会社側に休業手当の支払いを義務付けている。一方、コロナ禍では、この休業手当の要否にかかわらず、企業が払った休業手当を国が一部肩代わりする「雇用調整助成金」の仕組みも拡充された。

ところが女性は、「雇調金などの制度も整えられたのに、会社はかたくなに休業手当の支払いを拒んでいます」と話す。

女性側は、(1)会社側が休業補償をしないのは、労基法26条や民法536条2項に違反する、(2)100%補償があった正社員との待遇差は、パート有期法8条が禁じる不合理な格差に当たるーーなどと主張している。

裁判では、入居する商業施設ごと休業になった今回の休業が、会社側の責任と判断されるかなどが争点になるとみられる。また、雇調金を使わなかったことが判決に影響するかどうかも今後の実務に影響してきそうだ。

なお、企業から休業手当が支給されない場合は、国から従業員に直接支給される「休業支援金・給付金」の仕組みもある。女性も申請はしているが、裁判を通して、会社に休業手当の支払い義務があるかをはっきりさせたいという。

女性が加盟する飲食店ユニオンの原田仁希さんは、「コロナを理由とした休業手当未払いが違法となれば、コロナの影響で休業手当が払われなかった多くの労働者の救済になる」と強調した。

取材に対し、フジオフードシステムの代理人は「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」と話した。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る