5022.jpg
日本初の公害病「イタイイタイ病」がようやく全面解決へ――40年余の取り組みが結実
2014年01月13日 19時44分

一番目とされる患者の発生から約100年、公害病に指定されてから45年――「イタイイタイ病」をめぐる問題が、ようやく「全面解決」にたどり着いた。原因企業である三井金属鉱業と被害者団体が昨年12月、救済策などを盛り込んだ合意書を交わしたのだ。

イタイイタイ病は日本の四大公害病のひとつで、1910年代に富山県の神通川流域で発生した。骨が軟化し、体のあちこちが骨折するため、患者が「痛い痛い」と泣き叫んだことからその名がついたという。その後の調査で、三井金属神岡鉱業所(現・神岡鉱業)から排出された重金属のカドミウムが原因と判明した。

国は1968年にイタイイタイ病を公害病と認め、これまでに196人が認定を受けた。しかし、前段症状とされる「カドミウム腎症」は救済対象にされてこなかった。報道によると、今回の合意書には、腎機能低下の度合いなどで条件を満たした人を対象に、三井金属鉱業から一人当たり60万円の一時金を支払うことが盛り込まれた。

国内で初めて指定された公害病は、ようやく決着への道筋がついた。これまで最前線でこの問題に取り組んできた弁護士はどのように感じているのだろうか。イタイイタイ病弁護団事務局長を務める水谷敏彦弁護士に聞いた。

一番目とされる患者の発生から約100年、公害病に指定されてから45年――「イタイイタイ病」をめぐる問題が、ようやく「全面解決」にたどり着いた。原因企業である三井金属鉱業と被害者団体が昨年12月、救済策などを盛り込んだ合意書を交わしたのだ。

イタイイタイ病は日本の四大公害病のひとつで、1910年代に富山県の神通川流域で発生した。骨が軟化し、体のあちこちが骨折するため、患者が「痛い痛い」と泣き叫んだことからその名がついたという。その後の調査で、三井金属神岡鉱業所(現・神岡鉱業)から排出された重金属のカドミウムが原因と判明した。

国は1968年にイタイイタイ病を公害病と認め、これまでに196人が認定を受けた。しかし、前段症状とされる「カドミウム腎症」は救済対象にされてこなかった。報道によると、今回の合意書には、腎機能低下の度合いなどで条件を満たした人を対象に、三井金属鉱業から一人当たり60万円の一時金を支払うことが盛り込まれた。

国内で初めて指定された公害病は、ようやく決着への道筋がついた。これまで最前線でこの問題に取り組んできた弁護士はどのように感じているのだろうか。イタイイタイ病弁護団事務局長を務める水谷敏彦弁護士に聞いた。

●合意は「長期にわたる粘り強い取り組みの成果」

「イタイイタイ病をはじめ未曾有のカドミウム被害を蒙った神通川流域の住民は、1972年8月のイタイイタイ病訴訟勝利判決を梃子(てこ)にして、原因企業との間で3つの誓約書・協定書を結びました。

住民は、その誓約書・協定書に基づいて、裁判後40年あまりにわたり、健康被害救済、汚染土壌復元、発生源対策という3本柱の取り組みを進めてきたのです。

昨年12月の全面解決の合意は、こうした被害住民の長期にわたる粘り強い取り組みの成果です」

水谷弁護士はこのように、被害者たちの歩んできた道を振り返る。今回の合意については、どのように評価しているのだろうか?

「被害住民は、健康被害救済の面で、イタイイタイ病の前段症状である『カドミウム腎症』も公害病に指定して救済するよう国に求めてきましたが、残念ながらこれは実を結びませんでした。

しかし、今回の合意で、原因企業が『健康管理支援のための一時金を支給する』という形の救済制度が創設されることになりました。

この『60万円』という金額に対する評価は分かれるかもしれませんが、この制度による一時金の支給対象者は500名を超えると推定され、カドミウムによる腎機能影響を受けた人々に対する相応の救済と言ってよいと思われます」

水谷弁護士はこのように述べていた。この合意は、被害住民らの取り組みの歴史的到達点として、今後も長く語り継がれていくことになりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る