3472.jpg
「うるせんじゃ」と突然ブチギレ、1日中シカト…同僚の「モラハラ」に限界!
2020年11月16日 09時56分

「会社で年下の同僚に半年以上モラハラを受けています」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者と同僚は同じ部署で働いている。しかし、同僚は相談者とまったく口をきかず、出社・退社時の挨拶もしてくれないという。

ある日、相談者が同僚の後ろを通ると、同僚に「うるせんじゃ」などと怒鳴られた。同僚はその後、上司などから「(相談者に)謝れ」などと指導を受けたが、いつまで経っても謝罪はなく、相談者に対するモラハラは続いているという。

このような職場モラハラには、どのように立ち向かえばよいのか。村松由紀子弁護士に聞いた。

「会社で年下の同僚に半年以上モラハラを受けています」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者と同僚は同じ部署で働いている。しかし、同僚は相談者とまったく口をきかず、出社・退社時の挨拶もしてくれないという。

ある日、相談者が同僚の後ろを通ると、同僚に「うるせんじゃ」などと怒鳴られた。同僚はその後、上司などから「(相談者に)謝れ」などと指導を受けたが、いつまで経っても謝罪はなく、相談者に対するモラハラは続いているという。

このような職場モラハラには、どのように立ち向かえばよいのか。村松由紀子弁護士に聞いた。

●そもそもモラハラとは?

——同僚の行為は、法的に問題ないのでしょうか

厚生労働省の用語解説によると、モラハラは「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいう」とされています。

「うるせんじゃ」などと怒鳴ることはもちろん、同じ部署で働く同僚にまったく口をきかない、挨拶もしない、という行為は、その態度により相手を精神的に傷つけ、職場の雰囲気を悪くさせるものですので、モラハラといってよいでしょう。

ただ、モラハラにあたる行為にも程度差があり、そのすべてが法的に責任を問うことができるレベルにあるわけではありません。

——どのようなものであれば、法的責任を問えるのでしょうか

意味なく怒鳴る行為は、金額はわずかですが、怒鳴られたことによって被った精神的苦痛について、損害賠償請求することが可能です。

一方、挨拶や会話は、労働者が一般的にこれらを行う法的義務までを負っているとはいえないため、残念ながら直ちに法的な責任を問うことはできないと考えます。

●会社は改善する努力義務がある

——会社は同僚が相談者に挨拶をせず口をきかないことに対しては、なんら注意をしていないようです。このような会社の対応に問題はないのでしょうか

使用者は、労働者の安全に配慮する義務を負い、その付随義務として、良好な職場環境を提供・維持すべき義務(職場環境配慮義務)を負っているため、モラハラに対しては、何らかの改善努力をすべき義務があります。

会社が事実を知りながら対処をしないことは、職場環境配慮義務として問題があるものといえます。ただ、会社は同僚が怒鳴ったときには指導をしたようですので、何ら指導をする気がないのではなく、本人の被っている精神的苦痛に対する認識が乏しい可能性があります。

——このような職場モラハラにはどのように立ち向かうべきですか

「口をきかない、挨拶をしない」という同僚の行為がモラハラにあたり、相談者が大きな精神的苦痛を被ってることを上司にきちんと伝え、改善の援助を求めましょう。挨拶に関しては、会社全体のルールとして就業規則等で具体的に定めてもらうのも一つの手でしょう。

それでも、改善が見込めない場合には、会社の職場環境配慮義務違反や同僚の就業規則上の秩序義務違反などを理由に、同僚の異動を求めることも一つの対処法と考えます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る