250.jpg
宗教法人に消費者契約法は適用されないってホント? 消費者庁に聞いてみた
2022年08月02日 17時10分
#旧統一教会問題

安倍晋三元首相の銃撃事件で、宗教団体による「霊感商法」をめぐるトラブルや、霊感商法について規定する法律に注目が集まっている。

報道によれば、事件の被疑者は母親が団体に多額の寄付をした結果、破産に追い込まれたという。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を含む新興宗教にまつわるトラブルについては、多額の献金や物品の購入を求められ金銭トラブルとなったなどの相談が弁護士ドットコムにも寄せられている。

消費者契約法は、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しを認めている。この規定は、2018年の同法改正により新たに設けられた。

SNS等では、この規定によって「霊感商法が大幅に減っている」「改正法で旧統一教会に打撃を与えた」などの意見がある一方、「宗教法人への寄付お布施には対処しない」「本人の意思で行った献金にも適用されるのだろうか」「献金は消費者契約法には当たらないので何の救いにもなっていない」など、規定の実効性について疑問の声もあがっている。

安倍晋三元首相の銃撃事件で、宗教団体による「霊感商法」をめぐるトラブルや、霊感商法について規定する法律に注目が集まっている。

報道によれば、事件の被疑者は母親が団体に多額の寄付をした結果、破産に追い込まれたという。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を含む新興宗教にまつわるトラブルについては、多額の献金や物品の購入を求められ金銭トラブルとなったなどの相談が弁護士ドットコムにも寄せられている。

消費者契約法は、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しを認めている。この規定は、2018年の同法改正により新たに設けられた。

SNS等では、この規定によって「霊感商法が大幅に減っている」「改正法で旧統一教会に打撃を与えた」などの意見がある一方、「宗教法人への寄付お布施には対処しない」「本人の意思で行った献金にも適用されるのだろうか」「献金は消費者契約法には当たらないので何の救いにもなっていない」など、規定の実効性について疑問の声もあがっている。

●消費者庁「消費者契約に該当するかどうかがネック」

宗教団体に対する消費者契約法の適用について、消費者庁はどのように考えているのか。

消費者庁消費者制度課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「宗教法人や、法人格がなくとも組織としての体裁のある団体であれば、消費者契約法の適用対象になる」と話した。

消費者契約法は、適用対象となる「事業者」について、「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と定めており、宗教法人・団体はこの「法人その他の団体」に当たるとする。

むしろ、消費者契約法を適用する上でネックとなり得るのは、事業者たる宗教法人と消費者との間におけるやり取りが消費者契約法の適用対象となる「消費者契約」に該当するかどうかだという。

「たとえば、宗教的な要素の強い寄付行為やお布施だと、そもそも『契約』ではなく、『単独行為(一個の意思表示のみで成立する法律行為)』に当たる可能性があります。

金銭の授受があったとしても、消費者契約法上の『契約』かどうかが同法の適用についてネックになるところでして、民法の解釈になってきますが、いわゆる贈与契約や不当な対価の売買契約などの『契約』になるかどうかが1つのポイントになるかと思います」(担当者)

●「宗教絡みというだけで対応断っているということはない」

では、宗教団体とのトラブルに関する相談が消費生活センター等に持ち込まれた場合、どのような対応をしているのか。

消費者庁地方協力課の担当者は、個別の案件によると前置きしたうえで、「消費者契約法が適用されるケースかどうか判断が難しい場合には、国民生活センターと協議したり、各センターで提携している法律事務所に法的な見解を問い合わせるなどの対応をおこなっている」という。

「トラブルだとして相談されたケースでも、『本人としては心からの献金だった』というような場合だと、(消費者契約法が適用されるケースなのかどうか)どうしても判断が難しいことがあります。

また、二束三文の物品を高額で買わせるなど詐欺的な事案の場合には、警察に相談するよう案内することもあります。

法律事務所との提携などは各自治体の消費生活センター等ごとでおこなわれているので、すべてのセンター等で対応しているわけではありませんが、法的な見解についてもできるだけ回答できるように努めています」(担当者)

SNS等には、消費生活センター等は宗教団体関連の相談について「政教分離」の観点などから対応してくれないとの声もある。

この点については、全ての案件を把握しているわけではないとしつつ、「宗教団体が関係しているということだけで、相談対応を断っているということはない」と話す。

「結論として消費生活センター等で処理することが難しいと判断することはあり得ますが、『宗教』というだけで対応しないということにはなっていません」(担当者)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る