16395.jpg
ボクシング統括団体の元事務局長「解雇無効訴訟」で勝訴「現事務局長は首謀者の一人」
2015年06月17日 17時58分

日本のプロボクシングを統括する団体「日本ボクシングコミッション(JBC)」の事務局長を務めていた安河内剛氏(54)が、降格処分を受けて事務局長の座を追われ、さらに懲戒解雇されたことについて「無効だ」と訴えていた裁判で、JBCが2審でも敗訴した。東京高裁(石井忠雄裁判長)が6月17日、JBC側の控訴を棄却したのだ。1審に続き、安河内氏が受けた降格・配置転換・解雇の処分はすべて「無効」とする判決を下した。

安河内氏は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「速やかに事務局長として職場復帰したい」と話した。

日本のプロボクシングを統括する団体「日本ボクシングコミッション(JBC)」の事務局長を務めていた安河内剛氏(54)が、降格処分を受けて事務局長の座を追われ、さらに懲戒解雇されたことについて「無効だ」と訴えていた裁判で、JBCが2審でも敗訴した。東京高裁(石井忠雄裁判長)が6月17日、JBC側の控訴を棄却したのだ。1審に続き、安河内氏が受けた降格・配置転換・解雇の処分はすべて「無効」とする判決を下した。

安河内氏は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「速やかに事務局長として職場復帰したい」と話した。

●怪文書をきっかけに、降格処分へ

この問題は2011年4月、「安河内氏に不正経理疑惑がある」とする怪文書がばらまかれたことに端を発する。1審判決などによると、この不正経理疑惑は「なかった」と、JBCの調査委員会によって結論づけられた。

ところが、安河内氏を排除しようとした一部の職員らが「JBCとは別に、プロボクシングの統括団体を立ち上げる。ただし、JBCが安河内氏らを排除すれば、現状維持を考える」とJBCの幹部に迫った。その結果、安河内氏は2011年6月、降格・配置転換処分を受けて、事務局長の座を奪われた。安河内氏は2012年5月に降格・配置転換の無効訴訟を起こしたが、翌6月に解雇を告げられた。

2014年11月の1審判決は、この降格処分について、「浦谷(※浦谷信彰・現JBC事務局長)らによる新団体の設立を盾にした要求に対し、被告(JBC)が分裂を回避するために、浦谷らの要求を受け入れ、原告(安河内氏)を被告(JBC)から排除することを主たる目的として行ったもの」と判断。降格処分は違法・無効だとした。

配置転換も同じく無効とされた。さらに解雇についても「解雇権の濫用で無効」と判断した。そして、今回の2審・高裁判決でも、降格・配置転換・解雇は全て無効と判断された。

●「スポーツ組織としてあるまじき行為」

安河内氏は、一連の騒動について「JBCは事務局長に権限が集中している組織です。私が事務局長就任以来、改革を行ってきた中で、反発、不信感があったのかもしれない」と振り返りつつも、「何が起こったのか。今回の判決文には全部、記されています。理事や評議員の方にも、それを全部読んでもらって、現事務局長は首謀者の一人となっていますので、そういう人物と並列させる状況というのは、一刻も早く解消してほしい」と話した。

また、自分以外に3人の職員が解雇されたことにも憤りを感じているとして、「安河内に親しい、安河内の味方をしている。そういう非常に単純で幼稚な発想で、何の理由もなく、3人を排除したということが、スポーツ組織としてあるまじき行為だと思います」と力を込めた。なお、この3人はJBC側との裁判で和解し、すでに組織を離れているという。

この判決が確定すれば、JBCには安河内氏と浦谷氏という「2人の事務局長」が併存することになる。もしそうなれば、JBC側は難しい判断を迫られることになりそうだ。

安河内氏は「どんなことがあっても復職をしたいという思いで、3年間頑張ってきた。お金の問題ではない。トップとしての英断をしてもらいたい」と話していた。

JBCは弁護士ドットコムの取材に対し、「判決文が届いていないので、現時点でコメントは控えさせてください。判決が届いて、それを精査した後、声明を出す可能性があります」と答えた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る