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林眞須美死刑囚、出版社に敗訴 カレー事件当時の記事は「プライバシー侵害にあたらず」 東京地裁
2022年07月14日 19時50分

和歌山毒カレー事件で死刑が確定した林真須美死刑囚が、事件当時の記事などによって名誉を傷つけられ、プライバシーを侵害されたとして、『週刊女性』を発行する「主婦と生活社」に1000万円の損害賠償をもとめた裁判で、東京地裁(大竹敬人裁判官)は7月14日、請求棄却の判決を言い渡した。

1998年に起きた和歌山毒カレー事件で、殺人などの罪に問われた林死刑囚は現在、再審請求中で、大阪拘置所に収容されている。

和歌山毒カレー事件で死刑が確定した林真須美死刑囚が、事件当時の記事などによって名誉を傷つけられ、プライバシーを侵害されたとして、『週刊女性』を発行する「主婦と生活社」に1000万円の損害賠償をもとめた裁判で、東京地裁(大竹敬人裁判官)は7月14日、請求棄却の判決を言い渡した。

1998年に起きた和歌山毒カレー事件で、殺人などの罪に問われた林死刑囚は現在、再審請求中で、大阪拘置所に収容されている。

●無差別殺人事件の被疑者という立場にあったことを指摘

判決文によれば、林死刑囚側は、隠し撮りされた写真や、自身に関する事実無根の記事が雑誌に掲載されたと主張していた。提訴は2018年9月4日付。

東京地裁は、事件当時に発売された週刊誌の記事には、林死刑囚の私生活のことを書いた記事や本人の写真が掲載されていると認定した。

そのうえで、重大事件の被疑者だった林死刑囚の立場を考えれば、「私生活上の事実や情報を公表されない利益が、公表する理由に優越するとまではいえない」などのほか、記事には公益性があるとして、不法行為は成立しないと判断した。

なお、家族のことを書いた記事も報道に理由があるとした。

たとえば、ある記事では、林死刑囚と自宅の写真や、子どもたちがいたとされる施設の写真が掲載されていた。

判決は、記事の内容が子どもの実名や通学する学校を公表していないことに加えて、「重大事件の被疑者の家族、とりわけ、子らの動向は、少なくとも記事が掲載された当時においては、社会の正当な関心事として報道意義があったものと考えられる」と指摘した。

●期限ギリギリで裁判を起こしていた

裁判所は、1998〜99年に発売された雑誌記事のうちのいくつかは20年の除斥期間を過ぎたことなどを理由に、請求権は消滅したというべきと判断。そのうえで、請求権が消滅していないと考えられる4つの雑誌記事(98年11月〜12月発売)について、不法行為の成立を検討した。

林死刑囚は同時期に、複数の出版社を相手に裁判を起こしている。

(塚田賢慎)

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