14263.jpg
スーパーのレジ、店員が座ったらダメですか? イス設置求め、学生が運営会社と交渉
2023年12月11日 12時09分
#日本の雇用と労働 #おもてなし

スーパーのレジにイス設置を求めて会社と交渉を続ける大学生がいる。文教大学3年生の茂木楓さん(22)は、大手スーパーのベイシアでアルバイトを始め、レジにイスがないことに疑問を持ち、首都圏学生ユニオンを通じ会社と交渉中だ。12月10日、東京・新宿で、レジ業務にイス設置を求めるイベントを開いた。(ライター・田中瑠衣子)

画像タイトル

スーパーのレジにイス設置を求めて会社と交渉を続ける大学生がいる。文教大学3年生の茂木楓さん(22)は、大手スーパーのベイシアでアルバイトを始め、レジにイスがないことに疑問を持ち、首都圏学生ユニオンを通じ会社と交渉中だ。12月10日、東京・新宿で、レジ業務にイス設置を求めるイベントを開いた。(ライター・田中瑠衣子)

画像タイトル

●「立つのが当たり前は、おかしい」 ベイシアと交渉スタート

「イスに座って働くことができる選択肢がほしいです」。多くの人でにぎわう週末のJR新宿駅の東南口広場で、茂木さんはサウナ用のイスに座ってこう訴えた。

茂木さんは留学費用をためるために、2021年春から埼玉県内のベイシア店舗でレジのアルバイトを始めた。勤務は週3回、日によって異なるが4時間ほど働く。働いてすぐに長時間の立ち仕事で足がこわばり、疲労を感じた。「最初は立つのがあたり前、しょうがないと思っていましたが、次第におかしいと感じ始めました」

一緒に働く人の中には、体が疲れるのでマッサージに通っている人や、腰痛がひどくなり退職したりした人もいた。そこで首都圏学生ユニオンを通じて、イス設置を求める交渉をスタートした。

画像タイトル イベント会場では海外で座って働く人たちのパネルが掲示された

●1カ月半イスを試験導入 「文句を言うお客さんはいなかった」

海外のスーパーに行くと、座ってレジを打つ人を目にすることがある。

日本では労働安全衛生規則で「事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない」と定めているが、努力義務にとどまる。日本の「おもてなし文化」や、「お客さまは神様」という言葉の誤った解釈も「レジ業務は立ち仕事」という固定観念と関係があるのかもしれない。

茂木さんらの交渉が前進したのは今年秋。ベイシアは2023年9月から1カ月半ほど、茂木さんの働く店舗など一部でイスを試験導入した。レジを打つ時は立つが、待っている間は座ってよいという運用だった。「疲れ方が全然違いました」。一緒に働く人にも好評だった。茂木さんが座っている姿を見て文句を言った客はいなかったという。

だが、茂木さんによると、会社側は試験導入が終わった後に行ったアンケートで、反対意見が3割ほどあることなどを理由にイス設置には消極的だという。首都圏学生ユニオンが行う署名には約2万2000人分の署名が集まっており、茂木さんらは今後も交渉を続ける。

この日のイベントには芸人のせやろがいおじさんや、雑誌「IWAKAN」を発行するアンドロメダさん、車椅子ギャルのさしみちゃんも登壇し、固定観念にとらわれず、一人ひとりが健康に働くことができる職場環境を訴えた。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る