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”大阪王将ナメクジ告発”で逮捕にネット動揺、不正の「内部告発者」が保護されるには…
2024年02月22日 10時20分
#内部告発

宮城県仙台市で営業していた飲食店の店内が不衛生だとする内容をSNSに投稿して業務を妨害したとして、20代の男性が2月中旬、威力業務妨害の疑いで逮捕・送検された。

報道によると、「大阪王将」のフランチャイズ店舗の元従業員を名乗る男性は2022年7月、SNSで調理場などにナメクジなどの発生を告発していた。投稿した写真に写っていたのは1匹だが、大量であるかのように書いていたとみられるという。

今回の逮捕を受けて、ネットでは仮に告発内容が「真実」だとしても罪に問われるリスクがあるのかと驚きの声が上がった。

保健所の調査では、実際にナメクジは確認されなかったものの、「湿気の多い季節に外部からの侵入があった」として指導を受けていたからだ。

その後、店は閉店していた。報道によると、男性は警察の調べに「間違いない」と容疑を認めているという。

今回のような"告発"をした場合に保護されるためには、どのような手順を踏む必要があるのか。公益通報にくわしい太田伸二弁護士に聞いた。

宮城県仙台市で営業していた飲食店の店内が不衛生だとする内容をSNSに投稿して業務を妨害したとして、20代の男性が2月中旬、威力業務妨害の疑いで逮捕・送検された。

報道によると、「大阪王将」のフランチャイズ店舗の元従業員を名乗る男性は2022年7月、SNSで調理場などにナメクジなどの発生を告発していた。投稿した写真に写っていたのは1匹だが、大量であるかのように書いていたとみられるという。

今回の逮捕を受けて、ネットでは仮に告発内容が「真実」だとしても罪に問われるリスクがあるのかと驚きの声が上がった。

保健所の調査では、実際にナメクジは確認されなかったものの、「湿気の多い季節に外部からの侵入があった」として指導を受けていたからだ。

その後、店は閉店していた。報道によると、男性は警察の調べに「間違いない」と容疑を認めているという。

今回のような"告発"をした場合に保護されるためには、どのような手順を踏む必要があるのか。公益通報にくわしい太田伸二弁護士に聞いた。

●「社内→行政機関→外部(マスコミなど)」 なぜ相談先の順番が重要なのか

——威力業務妨害罪での逮捕をどのように受け止めていますか

これまでの報道を見ても、何が問題にされたのか、正確なところはわかりません。仮に男性が「ナメクジが大量にいる」といった投稿をしたけれど、実際にはそこまでではなかったとします。

そうだとすると、威力業務妨害罪(刑法234条)よりも、虚偽の風説を流布したとして、偽計業務妨害罪(刑法233条)だとするほうが適切だと思います。

ただ、威力による場合も、虚偽の風説の流布の場合も、いずれも「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」という法定刑は同じです。

実際に不衛生な状況があった場合、逮捕する必要性があったのか疑問に思いますが、報道されていない事実が存在する可能性もあり、逮捕の妥当性についての評価は留保したいと思います。

——内部告発をしようとしたとき、どのような手順を踏むべきでしょうか

不正を発見した場合、まずは社内での相談を考えたほうが良いです。たとえば、会社の社内通報窓口です。そのような窓口がなければ、上司に相談することも考えられます。

続いて、会社の違法行為について、処分や勧告の権限を有する行政機関への通報も考えられます。

たとえば、食品衛生の問題であれば保健所に、廃棄物の問題であれば自治体の廃棄物処理の担当課などに通報することです。

ただ、社内の窓口や行政機関に通報しても「解雇などの不利益な取扱いを受けると信じるに足りる相当の理由がある場合」や、会社に通報すると「証拠が隠滅・偽造・変造されるおそれがあると信じるに足りる相当の理由がある場合」などでは、報道機関などの外部機関への通報を検討していくことになります。

なぜ、こういった順番で考えるかというと、公益通報者保護法は、(1)社内→(2)行政機関→(3)外部という順番で、法が保護するための要件を厳しく定めているからです。

公益通報保護法の「保護の対象」となる公益通報にあたれば、解雇などの不利益な取扱いは禁止され、会社に損害が生じても賠償請求はできないとされています。

SNSへの投稿についても、要件を満たせば、外部への通報として公益通報者保護法の定める保護を受けられる場合があります。

ただし、公益通報者保護法の要件に該当しないからといって、内部告発者が保護されないわけではありません。

内部告発をしたことを理由として解雇されたとしても、客観的合理性・社会的相当性を欠くとして無効となることもあります。会社の名誉を毀損したとして、会社から損害賠償請求されたとしても、内部告発が公共性・公益性・真実性または真実相当性を満たすとして請求が棄却されることもあります。

●告発者に不利益をもたらさないためには「弁護士に相談を」

——太田弁護士は「内部告発の前に弁護士に相談してほしい」とSNSに投稿しました

内部告発が保護される公益通報にあたるかどうかについては、先ほど述べたほかにも検討すべきことがまだまだあります。

たとえば、公益通報者保護法で保護される公益通報にあたるためには、「不正」というだけでは足りず、対象となる法律に違反する犯罪行為や、最終的に刑罰につながる行為を対象としていることが要件とされています。

そのため、通報しようとしている行為が、このような犯罪行為などにあたるかは検討が必要です。

また、社内の窓口、行政機関、報道機関などの外部機関のいずれに内部告発をするのが事態の改善に有効なのか、通報者にとってダメージが少ないのかということも検討することが必要です。

こういった検討には法律専門家である弁護士が関わり、通報者本人から事情を聞き取って法的に整理したうえで、内部告発がもたらす効果や告発者の負うリスクも説明して検討していくことが不可欠だと考えます。

私はこれまで数件の内部告発に関わりましたが、いずれも労働者に不利益が生じることなく目的を達することができました。この人たちが内部告発を考えたのは、自分の利益のためではなく、社会に生じる損害を食い止めようとする正義感からです。そのような思いに応えるのが弁護士の役割だと私は思っています。

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