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「ラーメンオタク」男性に賠償命令…元バイトAKBラーメン店主を「反社とつながり」、略式命令も
2023年04月14日 17時12分
#バイトAKB

元「バイトAKB」のラーメン店経営者、梅澤愛優香さんが、「反社とのつながり」を指摘するメッセージを取引先の業者に送られて業務妨害をされたなどとして、いわゆる「ラーメンオタク」の男性に損害賠償を求めていた裁判で、横浜地裁(波多江真史裁判長)は4月14日、男性に55万円の支払いを命じた。

また、男性が信用毀損罪で略式起訴され、横浜簡裁が2021年12月に罰金10万円の略式命令を下していたことも明らかになった。

今回の判決を受けて、梅澤さんは弁護士ドットコムニュースの取材に「正当な判断をして頂けたと思っております」とコメントした。(編集部・塚田賢慎)

元「バイトAKB」のラーメン店経営者、梅澤愛優香さんが、「反社とのつながり」を指摘するメッセージを取引先の業者に送られて業務妨害をされたなどとして、いわゆる「ラーメンオタク」の男性に損害賠償を求めていた裁判で、横浜地裁(波多江真史裁判長)は4月14日、男性に55万円の支払いを命じた。

また、男性が信用毀損罪で略式起訴され、横浜簡裁が2021年12月に罰金10万円の略式命令を下していたことも明らかになった。

今回の判決を受けて、梅澤さんは弁護士ドットコムニュースの取材に「正当な判断をして頂けたと思っております」とコメントした。(編集部・塚田賢慎)

●梅澤さんは慰謝料など220万円をもとめていた

梅澤さんは「バイトAKB」としてアイドル活動をしたのち、「麺匠八雲」などのラーメン店を複数手がけている。

判決文によると、男性は2021年8月12日、フェイスブックのメッセンジャーで、梅澤さんの取引先業者に「麺匠八雲さんですが、人間性に問題ある方です」「裏に反社がいるのは事実なようです」「裏の人間は山口組絡んでるのでマジで気を付けてください」などのメッセージを送った。

これを受けて、業者が取引を一時停止したことから、予定していた新店のオープンが延期されることになったという。

梅澤さんは、自身だけでなく経営する店にも反社会的勢力に関係のある人間はいないため、メッセージは虚偽であり、社会的評価が著しく低下させられたと主張。

また、被告の男性がTwitterに投稿した「今日はどこのラーメン(※注:ラーメンの絵文字)パクるんだろう?」などの記載もあわせて名誉を傷つけるものとして、梅澤さんは2021年9月、慰謝料など計220万円をもとめて提訴していた。

●FBメッセージによる業務妨害を認めた

判決文によると、男性は2021年12月7日、上記のFBメッセージを業者に送った件で、信用毀損罪で略式起訴され、横浜簡裁が同日、罰金10万円とする略式命令を下している。(同月22日確定)

横浜地裁は判決で、メッセージによって取引が中止となった事実から、業務が妨害されたと認めた。

また、男性の「今日はどこのラーメン(絵文字)パクるんだろう? アドバイス受けたりパクっても独学らしいw」というツイートについて、梅澤さんが他人のアイデアを盗んでいながら独学でラーメンを作っていると謳う人物であるとの印象を与えるもので、梅澤さんの社会的評価を低下させるものであり、名誉毀損と侮辱行為であると認めた。

そのうえで、取引が中止し、業務が妨害されたことと、上記のツイートによって、ラーメン店の経営者として精神的苦痛を被ったとして、その慰謝料として50万円が相当とされた。

●FBメッセージによる名誉毀損は認められなかった

一方で、FBメッセージや他のツイートの名誉毀損は認められていない。

メッセージについては、それを受けとった業者が、不特定多数の者に流布などする可能性があったとはいえないとしている。

また、「A○Bの過去の栄光止めろ」「バイトAKBだしw」といったツイートについては、芸能人がその知名度や経歴を利用して商売をすることは往々にしてあるものだから、「元バイトAKBとしての知名度、経歴等を武器にしていることに対する批判的な意見」と理解されると判断された。

●梅澤さん「人が嫌がることはしないでほしい」

今回の判決を受けて、梅澤さんは「私の中では今でも無駄なことをされただけとしか思ってないですし、最初からこのようなことがなければよかったと思っています」と複雑な胸中を明かした。

2021年12月時点で男性に刑事罰が科されたことを、これまで明らかとしてこなかったのは、「刑事・民事ともに全ての結果が出た時に、心配してくださってた皆さまにご報告しようと思っておりました」との理由からだという。

「今回私がネットでの誹謗中傷をされたことをきっかけに、刑事告訴と民事訴訟をしました。そして当たり前のように誹謗中傷が罪と認められて私を誹謗中傷した男性には、前科が付く刑事罰、また民事での慰謝料の支払いという結果になりました。

ですが正直私は嬉しくもなんともない気持ちです。最終的に誰も笑顔にならない出来事があったという冷静な認識でいます。いまこうやって地裁判決という一つの区切りがつきましたが、こんな小さくつまらないことをしなければよかったのにという気持ちです。

それがここまで無駄な時間や労力をかけるまでの大事になるのですから、私のことでなくとも、人のことは尊重し、最初から人が嫌がることはしないでほしいと願っています。ただただそれだけです」(梅澤さん)

男性は、2021年9月当時の取材に対して、「(業者)への善意で送ってしまった」などと釈明していた。

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