10299.jpg
半沢直樹と「号泣議員」が共演・・・続々と誕生する「MAD動画」に問題はないの?
2014年07月04日 16時41分

人気テレビドラマ「半沢直樹」のワンシーン。主人公の半沢直樹と悪役の大和田常務に間に挟まれて、釈明を続けるのは、「号泣会見」で話題の野々村竜太郎・兵庫県議だった――。こんな驚くべき動画が動画サイトにアップロードされて、反響を呼んでいる。再生回数は7月4日16時30分時点で、18万回に迫っている。

既存の画像や動画、音声などを個人が再構成したものは「MAD」と呼ばれ、これまでも多くの作品がネットで公開されているが、野々村議員の号泣会見を報じるニュース動画はインパクトが大きいため、格好の素材になっている。あるMADの制作者は「こんなに使いやすい素材はない」と張り切っていた。

今回は、さまざまな種類の「号泣MAD」が次々と公開されている。たとえば、「千と千尋と野々村議員の金隠し」と題した作品は、映画「千と千尋の神隠し」の一場面を活用。主人公が泣くシーンに野々村議員の号泣音声を組み合わせたものだ。

ほかにも、レミオロメンの代表曲「粉雪」に野々村議員の叫び声をつなぎあわせた動画「粉雪歌いながら潔白主張」や、号泣の音声を加工して、F1のエンジン音のようにした動画「野々村議員の号泣会見をF1っぽくしてみた」など、作品は多種多様だ。

しかし、テレビ番組や音楽などを勝手に使ってMADを作ることは、法的にマズそうな気がするのだが、実際はどうなのだろうか。著作権問題にくわしい雪丸真吾弁護士に聞いた。

人気テレビドラマ「半沢直樹」のワンシーン。主人公の半沢直樹と悪役の大和田常務に間に挟まれて、釈明を続けるのは、「号泣会見」で話題の野々村竜太郎・兵庫県議だった――。こんな驚くべき動画が動画サイトにアップロードされて、反響を呼んでいる。再生回数は7月4日16時30分時点で、18万回に迫っている。

既存の画像や動画、音声などを個人が再構成したものは「MAD」と呼ばれ、これまでも多くの作品がネットで公開されているが、野々村議員の号泣会見を報じるニュース動画はインパクトが大きいため、格好の素材になっている。あるMADの制作者は「こんなに使いやすい素材はない」と張り切っていた。

今回は、さまざまな種類の「号泣MAD」が次々と公開されている。たとえば、「千と千尋と野々村議員の金隠し」と題した作品は、映画「千と千尋の神隠し」の一場面を活用。主人公が泣くシーンに野々村議員の号泣音声を組み合わせたものだ。

ほかにも、レミオロメンの代表曲「粉雪」に野々村議員の叫び声をつなぎあわせた動画「粉雪歌いながら潔白主張」や、号泣の音声を加工して、F1のエンジン音のようにした動画「野々村議員の号泣会見をF1っぽくしてみた」など、作品は多種多様だ。

しかし、テレビ番組や音楽などを勝手に使ってMADを作ることは、法的にマズそうな気がするのだが、実際はどうなのだろうか。著作権問題にくわしい雪丸真吾弁護士に聞いた。

●勝手に改変すると、「同一性保持権」を侵害する?

「まず、野々村議員のニュース動画を使って投稿する場合、著作権法の問題があります。著作権者の許諾なしにネットに投稿すると、著作権のひとつである『公衆送信権』を侵害することになります。

さらに、野々村議員の『号泣』と組み合わせる素材として、テレビドラマや映画を使って投稿するのであれば、こちらも同様に『公衆送信権』の侵害になります」

「投稿」そのものに問題があるということだが、動画を組み合わせることには問題はないのだろうか。

「異なる動画を組み合わせることは、勝手に著作物を変えることを禁止する『翻案権』や著作者人格権の1つである『同一性保持権』を侵害することになってしまいます」

合成することにも問題があるということだ。さらに、タレントの画像を勝手に使うのであれば、「肖像権」の侵害にもなりそうだが、野々村議員は「公人」だ。公人の場合も「肖像権」侵害になるのだろうか。

「『公人』である議員が記者会見しているニュースを使うだけであれば、『肖像権』の侵害にはあたらないものと考えられます。ただし、写真を加工した場合には、違法性を問われる可能性があります」

結局、「MAD」には、さまざまな法的課題が存在しているといえそうだ。だが、しばらくこの勢いは止まりそうにない。「MAD」で名俳優たちにもひけをとらないインパクトを見せつけた野々村議員は今後、どんなメッセージを発信するのだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る