犯罪・刑事事件の解決事例
#損害賠償請求

【システム利用料の返還請求への対応】

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澤田 直彦 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人直法律事務所
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

相談企業X社は、インターネットオークションサービスを運営していました。 ある日X社は、利用者Aさんの不正行為を発見し、AさんのIDを停止しました。Aさんは、ID停止措置に納得できず、X社にシステム利用料の返金を請求しました。X社は、Aさんの利用規約違反を理由に、返金を拒否しました。しかし、Aさんは強硬に返金を要求し、事態は膠着状態となりました。X社は、弊所に相談することを決意しました。

解決への流れ

弊所は、担当者から状況を詳しく聞き、利用規約の内容を確認したところ、利用規約には、以下のような内容が記載されていました。• 禁止行為:虚偽情報の掲載、入札の妨害、不正競争など• 違反した場合の措置:ID停止、利用料の返金拒否などAさんは、偽の入札を繰り返していたことが判明しました。これは、利用規約で禁止されている行為に該当します。弊所は、下記の理由に基づき、Aさんの返金請求は正当ではないと判断しました。• Aさんは、利用規約に違反する行為を行っていたこと。• 利用規約には、違反した場合の措置として、利用料の返金拒否が明記されていること。• Aさんは、利用規約に同意した上でサービスを利用していたこと。弊所は、X社に上記の説明を行い、Aさんの返金請求を改めて拒否することを伝えました。X社は、弊所の説明に納得し、Aさんに改めて返金拒否の旨を通知しました。Aさんは、弊所からの通知を受け、返金請求を諦めました。

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澤田 直彦 弁護士からのコメント

今回の案件は、インターネットオークションサービスの利用規約に関する法律問題でした。インターネットオークションサービス提供事業者は、利用規約に基づいて、利用者に対して様々な措置をとることができます。しかし、実務上は、利用者が行った「不正行為」が、利用規約に禁止行為として定められているものといえるのか、利用規約の解釈が問題となる事案が多数見受けられます。インターネットサービスの利用規約は、トラブルを防ぐための大切な盾です。しかし、適切に作成しないと、かえってトラブルを招いてしまうこともあります。利用規約を作成する際に特に注意すべき3つのポイントを以下、解説します。1. 具体的な禁止行為を明記する「不正行為があった場合」という記載は、利用者にとって何が禁止されているのか明確ではありません。具体的にどのような行為が禁止されているのかを、できる限り詳細に書き込むことが重要です。例えば、オークションサービスであれば、「自己入札の禁止」、「虚偽情報の掲載の禁止」、「入札の妨害の禁止」など、具体的に禁止行為を列挙しましょう。2. 複数のサービスにまたがる場合は、整合性を図る1つのIDで複数のサービスを利用できる場合、例えばオークションサービスの不正行為を理由にID停止した場合、オークションだけでなく当該IDで利用している全てのサービス(ブログ、アバターなど)が利用できなくなるシステムが多く見られます。このような場合は、オークションサービスの利用規約だけでなく、IDやその他のサービスに関する利用規約も関係してくる可能性があります。ポータルサイトなど、複数のサービスを提供している場合は、各サービスの利用規約が相互に矛盾なく、整合性のある内容であることを確認する必要があります。3. 利用規約全体を定期的に見直すインターネットサービスを取り巻く環境は常に変化しています。そのため、利用規約の内容も定期的に見直し、必要に応じて改訂する必要があります。特に、法改正や技術革新などによって、利用規約の内容に抵触する行為が発生する可能性がある場合は、迅速に対応することが求められます。