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#相続放棄

【相続放棄】被相続人に多額の借金のあることが相続開始後3か月以上経過してから判明した事案で,相続放棄が認められた事例

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濱崎 誠二 弁護士が解決
所属事務所明石総合法律事務所
所在地兵庫県 明石市

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

ご相談者様はお父様を亡くされました。相続人はご相談者様を含め,子ら2名。お父様は,亡くなられた当時,生活保護を受けており,積極財産(預金など,プラスの財産)も消極財産(借金など,マイナスの財産)もないと思われたため,特に相続放棄の手続はしておられませんでした。しかし,相続開始後1年以上が経過してから,お父様が以前に事業をしていたころに金銭を貸したという金融業者から各相続人に500万円を超える貸金返還の催告書が届きました。相続開始を知ってから3か月以上経過しているものの,相続放棄が認められないか,ご相談にお越しになりました。

解決への流れ

各相続人において,貸金債務の存在を把握することが困難であり,相続放棄の手続を取らなかったこともやむを得なかったこと,被相続人の積極財産を処分していなかったことを申立てにおいて主張しました。その結果,相続開始を知ってから3か月以上が経過していたものの,相続放棄の申述は無事に受理されました。

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濱崎 誠二 弁護士からのコメント

相続放棄は,相続の開始を知ってから3か月以内にしないといけません(民法915条)。しかし,本件にように,被相続人の債務を知るのが困難な事情があり,かつ,被相続人の積極財産を処分していない場合には,相続開始後3か月以上が経過していても,相続放棄が認められる可能性はあります。また,債権者の中には,相続開始の事実を知りながら,あえて3か月以上経過するのを待ってから請求したのではないかと思われる事例もあり,そのような場合には相続人を保護すべきと言えます。よって,相続開始から3か月以上が経過しているからと言って,すぐに諦める必要はありません。本件のように相続放棄が認められる場合もあれば,消滅時効を援用することで債務を免れることができる場合もありますので,諦める前に一度,弁護士に相談してみるべきです。