この事例の依頼主
男性
相談前の状況
「自分と父が同居している父名義の建物について、遠方に住む弟が将来の相続持分2分の1を主張する雰囲気がある。」とのご相談。建物のローンの支払いはご相談者さまの名義でした。
解決への流れ
★相続税に配慮した遺言書を作成することに成功!★→ご相談者さまであるお兄さまが建物のローンを払っておられ、実質的にはお兄さまが取得するのが妥当といえる事情があったため、家族会議に参加させていただき、お父さま、弟さまにその点の説明をした上でご納得をいただきました。また、お父さまがお元気であることから、死後の紛争の防止のため、お父さまに将来、ご相談者さまであるお兄さまに相続させるとの自筆証書遺言を書いていただき、家族全員のご同意のもと、私が遺言執行者となりました。さらに、後日の紛争防止のため、弟さまにはお父さまから一定の贈与をしていただき、遺留分放棄の手続をとりました。それぞれの相続、贈与については税法上の優遇措置も利用し、課税額をなるべく抑える配慮をしました。
法律上、建物の所有権は登記された方のところにあると推定され、特に遺言がなければ相続によって法定相続分で分割されます。将来の相続を見据えて、異なる割合で相続させたいと考える場合には遺言を作成するのがもっとも有効です。ただ、特に自筆証書遺言については、いざ実行しようとしたとき、法律要件を欠くとして無効となるケースが散見されます。弁護士に法律要件のチェックを依頼するのが確実です。さらには、弁護士を遺言執行者としておくと有効でしょう。また、遺言に関わらず一定の相続人には遺留分があることから、この点への配慮も必要です。遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要ですが、安易に認められるわけではないので、この点も具体的事情をふまえて弁護士に相談すると良いでしょう。もちろん、金額が大きければ、税金対策にも目配りすべきです。なお、法律は事前の相続放棄を認めていません。